俳優の井浦新さんと東出昌大さんが出演する、名古屋のミニシアターが舞台となる映画の撮影に密着取材しました。撮影現場は、コロナ禍で苦境のミニシアターを助けたいという映画人たちの、熱い思いにあふれていました。

 名古屋駅から歩いて2分。「シネマスコーレ」。

 座席数は51の小さな映画館、いわゆるミニシアターです。

 木全純治さんが、開館当時から支配人を務めてきました。

名古屋から文化の発信を

 実は、今年で開館40周年を迎えます。

 1983年2月19日に開館したシネマスコーレ。映画監督 若松孝二が自分の映画を上映するために作りました。

 支配人を任された木全さんには、「ある目標」がありました。

 それは映画を通じて、「名古屋から文化を発信すること」

 目をつけたのは、当時マイナーだったアジア映画です。

 木全さんは名古屋でアジア映画のイベントを企画。中国人監督をゲストに招くため、北京に乗り込み直接交渉しました。 

「一緒に何かを作り出すところまで持っていきたい。そのきっかけになれば」(木全さん)

 イベントは大成功。名古屋でアジア映画ブームの「火付け役」となりました。

映画館の良さとは?

 一方で、新人監督のインディーズ映画の上映にも力を入れました。

 地方での上映を目指す若手映画人にとって、目標とする映画館になりました。

 しかし、新型コロナで観客動員は低迷。コロナ禍が3年に及んだ今も観客の2割が戻ってきていません。

 Q,打つ手はありますか?
「基本は映画館という場所の良さをね、彼ら(観客)自身が確認してもらうように導く。こういう場所だよと。常に話題を提供していく、そういうことに尽きるんじゃないかな」(木全さん)

創成期の青春群像劇

 そこで木全さんが考えたアイディアは、自らの実体験を映画にすること。シネマスコーレの創成期を舞台にした青春群像劇です。

※ロケでの劇中セリフ
「僕の映画を上映する映画館を作りたいんだよ。名前も決めたぞ」(井浦さん)
「なんていうんですか?」(東出さん)
「シネマスコーレ」(井浦さん)

 「俺役が東出か!あまりにもハンサム。俺の40年前とは違うなあと、驚きがすごくありました」(木全さん)

「観客の多くの方は残念ながら木全さんをご存知ないので、こんなに手ぶり、身ぶり、多い奴はいるか?東出やりすぎじゃないかと」(東出さん)

地元のボランティアスタッフも

 この日は、シネマスコーレの開館直前、木全さんが実際に体験したシーンの撮影でした。

 東出昌大さん演じる木全さんと井浦新さん演じる若松監督が、映画の配給会社に、開館のあいさつをするシーンです。

「映画はつくるのと興行はちがうからな」(配給担当者役)
「僕はいいもの提供していきますので、それでお客さんがついて来なかったらいいんです」(東出さん)

「映画にかける人たちがどう、もがいてあがいて次に進むかと、いうところが今も一緒のことなので、その熱量を感じてほしい」(木全さん)

 映画のプロデューサーを務める木全さんは、仲間に映画を作ろうと呼びかけました。

 すると、その思いに賛同し、第一線で活躍する映画人が参加。

 プロのスタッフだけでなく、多くの地元のボランティアスタッフも関わっています。

参加俳優たちの思い

 参加する俳優の思いは――

「ミニシアターで生まれてミニシアターで育ってきて、自分でも映画を持ち各地のミニシアターに映画を届けに行くことができるのは、僕自身がうれしい、幸せなことでもあります」(井浦さん)

「ミニシアターとかこういうインディペンデントの映画は、社会性でしたり問題提起をする作品も多いと思いますので、カルチャーのツールとして映画は残るべきだと思うし、僕も引き続き映画好きでいたいなと思う」(東出さん)

「(ミニシアターは)雑多な人々が集まって、ワイワイガヤガヤやるコミュニケーションの場所だし、そこから人間関係が生まれて新たな出会いが始まると、すごくいいなと映画はそれを描いていると思います」(木全さん)

 木全さんは、映画を通じてコロナ禍で希薄になった「人と人との繋がりの大切さ」を伝えていければと考えています。

(2月17日 15:40~放送 メ~テレ『アップ!』より)

2 Comments

  1. 井浦新さんと東出昌大さんの新しい映画は木全さんの思いがたっぷりと詰まってそうで、これはみるしかない!

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