エミー賞18部門制覇!『SHOGUN』の奇跡
俳優の真田広之氏がプロデュースし、主演を務めた『SHOGUN 将軍』が、米国のテレビ界で最も権威あるエミー賞にて18部門で受賞を果たした。この快挙は数々の“史上初”を達成し、日本人がプロデュースした作品がエミー賞を獲得したのも初めてである。また、日本人俳優が主演男優賞や主演女優賞を受賞したのも前例がなく、18部門での受賞はエミー賞史上最多となった。

『SHOGUN』フィーバーの幕開け
実は、エミー賞受賞前からロサンゼルスでは『SHOGUN』を称える“SHOGUN祭り”が開催されており、街中に掲げられた巨大なビルボードがその熱気を物語っていた。多くのメディアが『SHOGUN』のエミー賞受賞を確実視しており、予想通りの結果となった。

歴史的な受賞の背景
エンターテインメント誌「ザ・ハリウッド・レポーター」は『SHOGUN』の勝利を「歴史的な出来事」と評しており、特にアジアや非英語圏の作品にとっても画期的な成果であることを強調している。『SHOGUN』は優秀ドラマシリーズ部門で受賞した初の非英語圏の作品であり、真田広之氏と沢井美優氏がエミー賞を受賞した初の日本人俳優となったことは、業界にとって大きな意義を持つ。

評価の要因は「オーセンティックな日本」
『SHOGUN』がこれほど高く評価された理由の一つは、真田氏が受賞会見で語った「オーセンティック」、すなわち「本物の日本」を描いた点にある。ハリウッド作品で日本人が登場する際、ステレオタイプに基づいた描写が多かったが、真田氏はこれに強い不満を抱いていた。そこで、真田氏は多くの日本人キャストやクルーを招き入れ、日本の文化や時代背景を細部に至るまで徹底的に再現する手法を取った。

900ページのマニュアルを駆使した制作
『SHOGUN』の制作には、エグゼクティブ・プロデューサーのジャスティン・マークス氏によると、約900ページに及ぶインストラクション・マニュアルが存在し、その細部にまでこだわり抜かれたという。このような手間を惜しまず、日本のプロフェッショナルが主導して制作されたことで、アメリカの視聴者にとって新鮮かつ真実味のある作品として映ったのだ。

リメイク版が新たな視点を提供
『SHOGUN』は1980年にもテレビドラマ化されていたが、当時の作品はイギリス人作家ジェームズ・クラベルの視点で描かれたものであった。それに対し、今回のリメイク版は日本人の視点を中心に据えたため、より「オーセンティック」な作品としてアメリカの視聴者に新鮮な印象を与えたのだ。

日本語字幕が新たな挑戦を示す
セリフの約7割が日本語であり、字幕が付されていることも『SHOGUN』の特徴の一つだ。アメリカの視聴者はこれまで字幕付きの作品にあまり馴染みがなかったが、コロナ禍の影響で非英語圏の映画やドラマが広く受け入れられるようになった。このような背景も、『SHOGUN』の成功に寄与していると言える。

作品そのものの純粋な評価
『SHOGUN』の成功は、アメリカのテレビ業界においても「ゲーム・オブ・スローンズ」後の作品の一つとして位置付けられており、壮大な映像美と中世を彷彿とさせる物語が視聴者を魅了した。ハリウッドにおいては多様性や包括性が重視されるようになっており、今回の受賞は日本人俳優やスタッフのマイノリティ性ではなく、作品自体が純粋に評価された結果である。

多様性への疑問の声も
一方で、オンラインプラットフォーム「Medium」では「『SHOGUN』に黒人の登場人物がいない」という指摘もされている。歴史的には黒人が日本にいた証拠があるにもかかわらず、彼らが描かれていない点に対して疑問を呈する意見もあり、アメリカではこのような多様性に関する議論が活発であることが伺える。

ハリウッドにおける日本映画の系譜
今回の『SHOGUN』の受賞は、ハリウッドにおける日本映画の長い系譜の延長線上にある。1951年の黒澤明監督『羅生門』がアカデミー賞を受賞して以来、日本映画は国際的に評価されてきたが、テレビ界における日本人俳優や作品の評価はこれまで少なかった。その意味で、真田広之氏の『SHOGUN』は日本のエンターテインメント業界に新たな道を切り開く存在となった。

今後も世界中の視聴者は、真田氏が手掛ける次のシリーズに期待を寄せている。
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2 Comments

  1. 考えるべきことは、日本国内でまともな時代劇が作成されず、外国の時代劇が何年、何十年もテレビで放送されてること。真田さんは、時代劇に携わった先輩達への思いをインタビューで答えていましたが、これこそ再考すべきことだと思う。

  2. あの時代のアジアに、一般庶民に至るまでが知的で、武勇に優れ、清潔で、洗練された文化を持つ人々が暮らす国が存在したという驚くべき事実を世界に知らしめた功績は大き良い。
    ポルトガルやスペインが日本植民地化を断念した理由もわかるだろう。

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