山田風太郎の小説『八犬伝 上・下』(角川文庫刊)を映画化した前代未聞のエンターテインメント超大作『八犬伝』が25日より全国ロードショー。

 本作から、役所広司、内野聖陽、磯村勇斗、寺島しのぶら【実】パートの豪華共演シーンが特別公開された。主人公・滝沢馬琴役の役所広司、馬琴の友人にして人気絵師の葛飾北斎役の内野聖陽、馬琴の息子・宗伯役の磯村勇斗、そして馬琴の妻・お百役の寺島しのぶが一堂に会するシーン。

 江戸時代の人気作家・滝沢馬琴(役所広司)は、友人の絵師・葛飾北斎(内野聖陽)を前に、構想中の物語を語り聞かせる。里見家にかけられた呪いを解くため、運命によって引き寄せられた、きらめく珠を持つ八人の剣士が過酷な戦いの旅に出るという壮大にして奇怪な物語、題して「八犬伝」だ。その奇想天外な物語に驚嘆した北斎は、その場で見事な即興の下絵を描き、馬琴を驚かせる。馬琴の話の続きが気になる北斎は、事あるごとに馬琴のもとを訪れるようになり…。

 馬琴は、大名お抱えの医者にするべく教育中の息子・宗伯(磯村勇斗)に執筆の手伝いをさせているが、売れっ子作家ゆえに次々と客人がたずねて来るのを理由をつけて帰させるのが常だった。人払いをした後、希代の絵師になんとか絵を描いてほしいあまり、自らの背中を差し出して北斎に挿絵を描かせる馬琴。

 二人は宗伯の話をしながら、穏やかな時間が流れている…かと思いきや、そこへ騒々しく登場するお百(寺島しのぶ)。大の大人が昼間からくだらない話をしているのが面白くない彼女。名優たちのアンサンブルが楽しめる、【虚】パートの印象的なシーンの一つとなっている。

 本シーンの撮影について、メガホンを取った曽利監督は、特に役所と内野の共演について「全く違うタイプの名優という感じでした」と語り「役所さんは現場では自然体でリラックスされているのですが、完璧に準備され、台詞をご自身のものとして臨んでくださっていました。カメラが回ると演技とは思えない滑らかな口調で、馬琴そのものでした。監督としては非常にやりやすいのですが、逆に役所広司の最高の演技を逃すことなく撮影できているのか、映画として残せているのかという恐怖が常にありました」と振り返る。

 さらに、「『鋼の錬金術師 完結編』でご一緒しているので、内野さんの凄さも十分知っています。非常に頭の回転の速い方で、いろんな技を繰り出してくる。内野さんのそういう遊びの部分を、役所さんが受け止めたりいなすところが絶妙でした。台詞はほぼ脚本通りですが、動きは二人のアドリブで、北斎が馬琴の背中を借りて絵を描く流れも、リハーサルの時に内野さんがいきなり始めて、それを役所さんが受ける。そこへ寺島しのぶさんが大胆に絡み、若手の磯村勇斗さんと黒木華さんも怯むことなく堂々と入っていく。素晴らしい舞台を、特等席で観ているようでした」と、なんと馬琴と北斎の“背中”の掛け合いシーンが二人のアドリブであったことを明かしている。ぜひ映画本編で、本シーンの全貌を見届けてほしい!

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