東京都の小笠原諸島がアメリカから返還されて50年がたちました。村では6月30日に記念式典が開かれ、出席した小池都知事は「空港の建設は必要」と意欲を改めて示しました。地元の人たちの期待は高まっています。

 東京都心からおよそ1000キロ離れた小笠原諸島では、都心への交通手段は6日に1便の定期船に限られ、片道24時間かかります。このため、小笠原村は観光や医療体制の充実などに向け、およそ30年前から飛行場の建設を東京都などに要望しています。島に住む人からも「いま妊娠している。何かあったときにすぐ内地(本土)に帰れたり、内地から先生が来られたりするので、空港があったら便利だとは思う」という声が聞かれます。

 村の悲願である飛行場建設に、30日に開かれた返還50周年記念式典に出席した小池知事は「飛行場建設は必要」と前向きな姿勢を示し、今後、運用可能な機種についても検討していく方針を示しました。さらに「島民生活の安定と、国境離島である小笠原の自律的な発展、村民の安心安全を守るという観点から、小笠原に飛行場を建設することは必要と認識している」と述べました。

 東京都が飛行場の建設地として検討しているのは、父島西部の洲崎地区です。現在は木々が生い茂っていて、一部道路が整備されている状況です。東京都はこれまで、この場所に1200メートルの滑走路を造る計画を模索していました。しかし、今の計画のままでは滑走路の一部が海に突出することになり、周辺の峠も低くする必要性が出てくる可能性があるなど、自然環境への配慮が課題となってきます。そこで自然環境の保護の観点から、小池知事は滑走路を従来よりも短い1000メートル以下にする方向で検討する方針を決めました。

 島に住む人からも「内地によく行くので、空港はあった方がいいとは思うが、それによって自然が破壊されるのは…」「長い滑走路は必要ない。自然を破壊してまで巨大な滑走路が欲しいというわけではない」などといった声が聞かれます。

 飛行場建設は医療面のメリットがあります。現在、父島と母島にはそれぞれ1つずつ診療所があり、合わせて4人の医師がいます。しかし、産婦人科医や麻酔科医はおらず、大掛かりな手術をすることはできません。このため、命に関わるけがや病気の場合は自衛隊機で都心の病院に患者を搬送しなければいけません。小笠原村診療所長の田中靖士医師は「搬送の要請をかけてから患者が内地の基幹病院に収容されるまで、だいたい9時間から10時間かかってしまうのが現状」といいます。また、田中医師は、飛行場が建設がされれば医師不足にも一石を投じることができるとして「(空路があれば)患者への負担も減るし、内地の専門医の先生に飛行機で…例えば1泊2日とか2泊3日で来てもらい、内地と同じような専門診療を提供できる」と期待を寄せます。

 東京都は今後、国や小笠原村が参加する協議会を通じて、検討を進める考えです。

26 Comments

  1. 沖縄のように観光地化してほしい。
    しかし美しさはそのままでいてほしい。

  2. 空港より、医療従事者の手当てと都の費用で高度外科手術もできる診療機関を作ることで対応可能だろう。空港の維持管理と医療などの社会保障費用との効果割合だろう。所詮、離島の面積からかんがえて、空港を黒字維持できる可能性はない。税金は、納税者すべての財産なのである。無駄な金は使わないことだ!!

  3. 島民と都庁が考える事です。短い滑走路でも運用できる機種が今後も増えるでしょう。オスプレイの民間版のようなものがあるのか?

  4. 自衛隊機とは飛行艇US-2か
    800m滑走路で十分なSTOL ATR 42-600Sが有力かなあ。東京から父島まで984kmでATR 42-600Sの航続距離が1.560kmだから
    座席数42〜52席と小笠原諸島にぴったりだ。wikiにもこの機体を前提として滑走路建設を予定してるのかw

  5. これ東京都ってのがデカいよな。
    開発資金があればこの島はかなり可能性あるよね。

  6. 小笠原遠い遠い東京の島、しかし余りの遠い所なので行きたくても交通手段が船のみ
    で中々行けずじまい、飛行機が飛ぶ様になれば行く人も多いし観光地となるが、世界遺産
    環境問題の維持が大変になるかも、でも行って見たい夢の島

  7. 島の住人が必要とするなら小さな物を作れば良い、それにしても政治家は物を作ることしかしないなもっと言えば金を使う事しかしない、革新的な仕組みや独自の取り組みで結果を残して欲しい

  8. 昔は36時間だったね😁今まで空港が無いのが不思議です😓
    早く飛行機で行ける事を望みます🎵

  9. 医療に関してはオスプレイを使った輸送でいい。海自のヘリポートはある訳だし基地機能を拡張すれば良い
    オスプレイ反対派、聞こえてる?

  10. 一度は観光に行ってみたいけど、船酔いするので船で24時間は辛すぎる。
    65歳までに飛行場が出来たら旅行先として考える。
    昔、高知県の甲浦から大阪南港までのフェリー有ったけど所要時間僅かでも船酔いはキツすぎた。
    瀬戸内海航路は殆ど揺れないけど、太平洋航路をなめていた。

  11. 大小さまざまな島からなるハワイ州は大変素晴らしい自然を守りながら開発と両立しています。カウアイ島やハワイ島は小笠原とは比較にならない雄大な大自然に恵まれ、珍しい動植物が棲息する自然豊かな島ですが島内各地にローカル空港が整備され、ジェット機が発着できる滑走路があるおかげでハワイ州は急患搬送用にホンダジェットの医療用特別機を15機導入して島々を救急車のように使用しています。ホンダジェットであれば羽田~父島はわずか1時間半です。航空タクシーとしてビジネスや観光でも大活躍しています。滑走距離が短いからとレシプロ機やプロップ機に頼るのはもう古いです。燃費の良いシングルパイロットの小型ジェット機開発が早いスピードで進んでいます。ホンダは現行の8人乗りより一回り大きいジェットを発表しました。どうせ空港造るなら中途半端にせず、未来の小笠原のためにもジェットが発着できる1500m級を最初から整備しないと、また50年先、100年先まで時代から取り残されますよ…。ジェット発着可能なら航空自衛隊の駐屯も可能で島はより安全に守られる大きなメリットもあると考えます。

  12. 島民が病気になったら地獄すぎる

    急ぎの場合は硫黄島までヘリ→自衛隊の飛行機で内地へ行くらしいけど、それでも色々と間に合わん気がする

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